2011.09.04 UP
『監督失格』
『監督失格』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
平野勝之監督作品としては『白 WHE WHITE』から11年ぶりとなる新作映画です。前作が北海道三部作完結編ですから、この空白期間が壮絶な11年であることが想像できます。
北海道三部作、それは・・・
『由美香』(1997年)の主役は、もちろん林由美香です。
『流れ者図鑑 さまよえる全ての人々へ』(1998年)は林由美香の身代わりがテーマだとも考えられます。
そして、『白 WHE WHITE』(1999年)では林由美香の喪失がテーマそのものです。
つまり、北海道三部作の主役はどこまでいっても林由美香だったのです。主役は監督ではありませんでした。
最新作『監督失格』はタイトルからも暗示されるように、初めて平野本人が主役となるべく奮闘する姿が印象に残ります。
封印されていた映像を公開するということは、何度も何度も編集でその映像を見直さなければならないわけです。そのシーンは今作品の中で、最高に衝撃的で最悪に美しいです。こんなにも無残に時が停止してしまうショットを私は他に知りません。
娘の「撮っていいよ」から、母の「使っていいよ」が繋いだ『監督失格』。
僕らもまた「観客失格」として、時には「観客合格」として生きていかなければならないのです。その狭間に身を横たわらせながら。
絶プッシュです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!