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『BIUTIFUL ビューティフル』@ヒューマントラストシネマ渋谷

 

 

 

 

タイトルからしてスペルが間違っていますがが、それが真実だ。そんな囁きにも聞こえます。

 

主人公演じるハビエル・バルデムは子どもにこう聞かれます。

 

「お父さん、ビューティフルってどういう綴り?」と。

 

そこでの答えがタイトルにもある「BIUTIFUL」なのです。ここでは間違ったスペルが親から子へと伝えられます。決定的な間違いを。

 

でも、このスペルが間違っているから何だっていうのでしょう。子どもにとって「美しい」とは「BIUTIFUL」なのです。それが子どもにとっての真実なのです。(まさにソシュール的です。シニファン=シニフェの関係ですね。子どもにとってどんなシニファンかは関係ありません。シニフェの中で生きているのですから)

 

しかし、この映画は「美しいとは何か?」を問うものではありません。そこが支持できる部分です。けっして偽善ではない。むしろ、押し出されるのは偽悪です。

 

偽りの悪として、主人公はバルセロナを彷徨います。

彷徨いながら、生と死を行き来します。

 

印象的なショットのつなぎが2つあります。

 

「中国人約30人の死体」→「コカインが氾濫するクラブ」

 

この2シーンがつながります。つながるんです。

 

もう1つ。

 

「家族団らん」→「海辺に浮かぶ死体の数々」

 

このショットも連続します。カットが切り替わったら、即「生と死」です。

 

通俗的な「生と死」を表現した露骨すぎるショットのつなぎである、という批判もできるでしょうが、そんなものクソ食らえです。断固支持します