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2011.10.23 UP

『一命』

『一命』@渋谷シネパレス

 

 

 

 

1962年公開『切腹』のリメイクです。

橋本忍の脚本による傑作中の傑作です。

実際に「『切腹』こそがベストだ」と押す友人・知人が僕のまわりにも多数います。「キング・オブ・日本映画だ」と。

 

 

これに挑戦するのですから、よほどの内容でないと観客は納得しません。

(とはいえ、『切腹』を観ていない人がほとんどなのが実情でしょう。広告においても『切腹』のリメイクだ、という情報は重要視されず、主演の市川海老蔵の復帰作(?)的な扱いと、どこぞこの映画祭で喝采を浴びた、というふんわりとした情報が入れ込まれるばかりです)

 

 

もちろん、『一命』の評価の鍵を握るのは、『切腹』をどう換骨奪胎しているのか、その一点でしょう。

 

あとは関係ありません。

現代だから、撮影場所がない、などといった言い訳は通用しません。

 

これらが大前提で『一命』を観ました。

 

ネタバレになってしまうので、書けないのですが、ラスト20分までは『切腹』とほぼ同じ展開で進んできますが、「あのシーン」は変化しています。

 

これは観てもらう他ないんですが、現代で撮り直す意味が充分にある、と思いました。

 

ラストカットも素晴らしい。あのカットがあるとないとでは、作品全体のトーンが全く変わってきます。

 

拍手です。

 

というわけで、『切腹』をブルーレイで観てから、『一命』を観るのが超絶プッシュです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

2011.09.04 UP

『監督失格』

『監督失格』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ

 

 

 

 

 

 

 

平野勝之監督作品としては『白 WHE WHITE』から11年ぶりとなる新作映画です。前作が北海道三部作完結編ですから、この空白期間が壮絶な11年であることが想像できます。

 

北海道三部作、それは・・・

 

『由美香』(1997年)の主役は、もちろん林由美香です。

『流れ者図鑑 さまよえる全ての人々へ』(1998年)は林由美香の身代わりがテーマだとも考えられます。

そして、『白 WHE WHITE』(1999年)では林由美香の喪失がテーマそのものです。

 

つまり、北海道三部作の主役はどこまでいっても林由美香だったのです。主役は監督ではありませんでした。

 

最新作『監督失格』はタイトルからも暗示されるように、初めて平野本人が主役となるべく奮闘する姿が印象に残ります。

 

封印されていた映像を公開するということは、何度も何度も編集でその映像を見直さなければならないわけです。そのシーンは今作品の中で、最高に衝撃的で最悪に美しいです。こんなにも無残に時が停止してしまうショットを私は他に知りません。

 

娘の「撮っていいよ」から、母の「使っていいよ」が繋いだ『監督失格』。

 

僕らもまた「観客失格」として、時には「観客合格」として生きていかなければならないのです。その狭間に身を横たわらせながら。

 

絶プッシュです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 〜勝どき橋を封鎖せよ!~』@渋谷シネパレス

 

 

 

 

 

 

驚きました。

両津勘吉の漫画内の設定は(紆余曲折あったみたいですが)35歳。

 

>出生年は連載当初1943年生まれとされており、初期の頃は36歳で、しばらくはリアルタイムで加齢し39歳に達していたが、以降は長期連載に伴い年齢の言及がなくなり、後に1952年生まれに変更され、2009年時点では常に35歳という設定となっている。

 

両さん演じる香取慎吾は現在34歳です。

 

ほとんど同じなんですね。役者とキャラクターがほぼ同い年で映画を撮れるなんてことほど幸せなことはありません。

 

その一点を確認するだけでも、敢プッシュです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!