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『天国は待ってくれる』@シネマヴェーラ渋谷

 

 

ルビッチ、ルビッチ、ルビッチ。

3回呟いてから、スクリーンの最前線に身を構え、112分後には幸福に包まれすぎて、ここがラブホテル街ど真ん中の劇場ということを再確認して涙をこらえました。

 

物語は主人公が地獄の入り口にやってくるシーンから始まります。

 

「自分は地獄に行くのが当然だ。それは・・・」

 

と回想形式で進んでいきますが、この地獄の入り口シーンの演出がレトロでぶっとんでいます。この映画がアメリカで公開されたのが1943年。第2次世界大戦真っ直中なわけです。戦時中にこんなコメディを撮れるルビッチに乾杯です。

 

ボタン1つで地獄に堕ちるという古典的なアクション。そんなギミックからニューヨークのハイブロウな家庭生活へジャンプ。この落差がたまりません。

 

スクリューボール・コメディと呼ばれようが、ソフィスケイテッド・コメディと呼ばれようが、どっちでもいいです。どちらも傑作はあるし、駄作はあります。

 

作中に出てくる小道具『夫を幸せにする方法』は読むことより、生きることで掴むものであり、前者では永遠に掴めないのでしょう。