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2011.04.10 UP

『シリアスマン』

『シリアスマン』@ヒューマントラストシネマ渋谷

 

 

コーエン好きでも、積極的には足が向かないという不思議な作品です。

「コーエン兄弟が、実際に少年時代を過ごした中西部のユダヤ人コミュニティを舞台に描く異色のブラック・コメディ」という説明の通りなんですが、ユダヤ教を軽くでもいいので勉強してから見るのを強くお勧めします。

 

主にギャグが連発されるのが、ラビ(ユダヤ教指導者)の登場シーンです。

物語ではたくさんのラビが登場し、主人公は様々な苦難をラビに相談していきます。「どうやって生きていけばよいのか?」と。

 

そこでのラビたちの答えが秀逸です。

 

・ロングセットの歯医者エピソードを聞かせるが、オチがない

 

この下りはタメが効いていて名シーンの1つです。まだあります。

 

・物語上最高職のラビがもの凄く暇そうなのに、秘書に「今、忙しい」と言われる

 

このショットは「秘書がドアを開け、その奥にラビがどっしりと座っており、じっくりズームしていく」という1カットが緊張感を持続させています。

そして、再び秘書に寄って“オチの一言”という流れが素晴らしいです。

 

と、このように1つ1つのギャグシーンを挙げることはできるのですが、各ギャグが映画全体に有機的に効いているとは言い難いのが悲しいところです。つまり、ラビに関する1発ギャグをたくさん見せられているような体感しかできないのです。少なくとも僕は。もちろん「シリアス」というハードルを上げているからこそ笑える部分も多いのですが、“そんな分かりやすい落差は知ったことか!!”とつぶやきながら映画館を出ました。