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『ファンタスティック Mr.FOX』@新宿武蔵野館

 

 

この時代にストップモーション・アニメ映画を大胆にも撮ってしまうウェス・アンダーソンに、「あっぱれ」と言って握手をしたい気持ちでいっぱいです。

 

1秒間24コマでパペットを撮影していく想像を絶する愛情から生み出された作品、ということを無視したとしてもほとばしる「幸福」さがスクリーンにずっと漂っています。

 

タイトルの通り、キツネが主人公です。

1つのパペットにつき、4サイズを作り、全編を通して500体以上もの(!!!!!!!!!)パペットを製作したのには、驚きを通り越して感謝の気持ちすら浮かんできます。

 

スクリーンには赤色と茶色を基調にし、「物語の幸せさ」をフォローし続けます。その「幸せさ」は「ユーモア」とも置き換えられるかもしれませんが、僕は前者をとります。

 

そして、ラストカットのシーン。僕らが毎日のように出向く「あの場所」で物語は終わりを告げます。このカットにより、「幸せ」だけではなく、「悲しみ」も同時に受け取らざるを得ません。「幸せ」と「悲しみ」が同時に感じられるパペットアニメ、これは名作の最低条件であり必要条件ではないでしょうか。とにかく素晴らしく愛おしい作品です。