2011.06.15 UP
『さや侍』
『さや侍』@渋谷シネパレス
松本人志監督の3作品目は、父親と娘の物語です。
いくつか箇条書きで問題提起だけ。
●素人の王様、野見さんの狂気がどこまでスクリーンに写っているのか?
●「父親と娘の関係性」という、ド直球すぎる物語に2011年に公開すべき“ひねり”が加えられているのか?
●単調になりがちな構造「30日の業」は変化に富んだ演出がなされているか?
●「さや」しか持たない侍は、なぜ刀を手にしないのか?
観る前でも、観終わった後でも、これらの疑問は有効でしょう。
「『映画』のための映画」とでもいいましょうか。それがきちんと脱構築されたものであれば刺激的で、猛烈な魅力を放つことでしょう。「壊す」ためには、その「壊す」ものを直視しなくてはなりません。自分で作ったつたない粘土を壊すことが前衛的なわけはありません。むしろ、そのつたない粘土の素晴らしさを語り続けること、それが真の前衛だと信じるしかないのです。