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『ザ・ファイター』@シネセゾン渋谷

 

 

マサチューセッツ州のブルカラー街ローウェルの物語ですが、ボクシング映画である前にこのローウェルの街描写が素晴らしい。これは主人公母を演じるメリッサ・レオの演技による“大家族あるある”のディティールが大きな効果を生んでいます。

 

まず、主人公の女兄弟が6〜7人いるのですが、ずっとアルコールを飲んでいます。そして、家で何もしないで、ギャーギャー騒いでいるだけというカオス状態。もちろん、彼女たちには日常なわけですが。

 

メリッサ・レオのお母さんとしてのメンチの切り方。目が据わっています。アカデミー助演女優賞もダテではありません。(『フローズン・リバー』に続いて脅威の怪演ぶりですね)

 

加えてマーク・ウォールバーグの筋肉。クリスチャン・ベールの歯並びまで壊した役作り。この映画は本質的には「肉体の映画」でしょう。そういった体の質感が説得力を与えるのは言うまでもありませんが、映画に向かって「戦って」います。ボクサーというファイターだけでなく、役というものへの「ファイター」、ここに集約されると思います。愛おしいブルーカラー映画として必見でしょう、コレは。