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2011.05.21 UP

『人生万歳』

『人生万歳』@DVD

 

 

 

基本的にこのブログでは劇場で観た映画しか紹介していないのですが、今回は例外です。

 

ウディ・アレンの監督としての長編40作品目(!!!!!!!)です。指摘するのも野暮ですが、この作品数はやはり驚異的ですね。現在、75歳の老映像作家としても、世界に例が少ないのではないのでしょうか。もちろん、高齢で映画を撮り続ける作家はたくさんいますが、1年に1作というペースを頑なに守り続けて40年超え。・・・まさに「お疲れ様です!!!!!!!!!!!!!!!!!!」。僕らが普段使っている「お疲れ様」に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

とはいえ、褒められるべきはその量ではなく、質です。中期の作品はもちろんのこと、2000年代に入ってからの『おいしい生活』や『さよなら、さよならハリウッド』や『メリンダとメリンダ』など地味ながらも深い揺さぶりをもたらす佳作を連発しています。

 

そこで、日本公開最新作『人生万歳』です。

654ページの大著『ウディ・アレンの映画術』の中で本人自らは「僕の映画に特徴がもしあるとしたら、それは登場人物が観客に直接語りかけることかな」と認識しているように、『人生万歳』は『アニー・ホール』から続く、純情派メタフィクションものです。

 

「この作品は現代版『アニー・ホール』である」と指摘して何の意味があるでしょうか? たしかにそうなんです。元となった脚本が書かれた時期も近いことも関係あるのでしょう。でも、2作品を比較するのは映画の評価ではなく、時代の評価になってしまう気がします。「この時代の空気を非常に敏感に察知して・・・」うんぬんになります。そうではなく、2作品の共通性にこそ普遍性があるはずです。

 

 

とはいえ、1つだけ指摘しておきたいのは『人生万歳』での「観客」の扱い方です。主人公はただ我々に直接語りかけてくるだけではありません。「自分が映画だ」と言い張るのです。「あなたたちは、僕の映画を観ている客である」とまで言います。なぜ、我々はそこまで物語から突き放されなければならないのでしょうか。「こんなつまらない作品を観るな」とまで直接言われながら。