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2011.08.19 UP

『モールス』

『モールス』@TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

 

 

 

 

 

スウェーデン映画の大傑作『ぼくのエリ 200歳の少女』(邦題は最悪なんですが、内容はぶっ飛んでいるので超絶プッシュ)のハリウッドリメイクです。

 

『ぼくのエリ』がスウェーデンで2008年1月に公開され、本作が2010年10月アメリカ公開ですから、恐ろしいスピードでのリメイクになります。その間、わずか2年9ヶ月。

 

主人公を演じるのは『キック・アス』でおなじみ、クロエ・グレース・モレッツちゃん!!!!!!!!!!  これは萌えないわけがない、と期待していましたが、ここはそうでもないです。萌え度ないです。

 

さて、短期間でのハリウッドリメイク。

これは、監督のマット・リーヴスも語っている通り、「こんな完璧な作品をリメイクする必要ない」と当初は感じていたそうです。

 

当たり前です。『ぼくのエリ』はそれほど素晴らしい。

なのに、なぜリメイクしたのか。監督はこう語ります。

 

>「原作を脚色する場合、どうしても“新しいものにしてやろう”という虚栄心満々になってしまうんだけれど、今回はその考えを捨てて挑んだ」

 

うーん、歯切れが悪いですね。自分は虚栄心がないから、まんまリメイクする、と。そういうことでしょうか。

 

さらにスピルバーグからのこんなアドバイスもあったといいます。

 

>「役者にキャラクターとしての日記を付けさせる」「子役に自分を導いてもらうくらいの余裕を持つ」

 

話がそれました。

『モールス』観る暇があるのであれば、『ぼくのエリ』を鬼プッシュします。その後に、『モールス』を激プッシュします。蛇足ですが、スクリーンでかかっているのがある場合はそっち優先でお願いします。

 

 

 

2011.08.18 UP

『ツーリスト』

『ツーリスト』@三軒茶屋シネマ

 

 

 

 

 

三軒茶屋シネマにて。目当てはもちろん、2回目の鑑賞となる併映の『トゥルー・グリッド』です。

この映画館では観たくない方も無理矢理観る、と自分に課してきました。ここに通い出してから12年間(!!)、2本のうちどちらかだけを観ることはしていません。どんな駄作でも一瞬さえ光っていればスクリーンを見続ける理由になります。

 

封切りでは絶対に行かない種類の『ツーリスト』ですが、2番館で観るぶんには悪くないですねと言いたいところなんですが、3番館なら許せるレベルでしょう。

 

なんでしょうか、役者たちの魅力半減ぶりは。ストーリーだって突っ込み所満載なんですが、それ以上に役者の演出が紋切り型すぎます。

 

イーストウッドの大傑作『チェンジリング』で魅せたアンジェリーナ・ジョリーの妖艶かつ凛々しい、そして勇敢な演技。その片鱗すらないのです。もったいない! 「謎の美女」って謎風の演出をすることではないでしょう。

 

対するジョニー・デップ。『Dr.パルナサスの鏡』で魅せてくれた狂気は微塵もなく、もはやただの傍観者という有様。

 

2人の共演が台無しです。

勝手に2人で旅行していてください。もう本当に。

 

2人とも本当に実力のある俳優だと思いますので、どうか作品を吟味して下さい。とくにデップさん。よろしくお願いします。

 

『エッセンシャル・キリング』@シアター・イメージフォーラム

 

 

 

イエジー・スコリモフスキ監督の最新作です。

恥ずかしながら彼の作品を観るのは初めてという勉強不足ぶりでございます。

ですので、語る資格はありません。

 

いくつか彼のインタビューを貼るのがせめてもの礼儀でしょう。

 

 

<上映館のイメージ・フォーラムで行われた来日時のインタビュー>

http://www.outsideintokyo.jp/j/interview/jerzyskolimowski/index2.html

 

 

このインタビューを補助線にして、いくつか駄文を。

 

>JS:いや、私はあらゆる情報を意図的に避けているつもりだ。名前も全く出さないし、場所を特定するような説明もないはずだ。日付さえ入れないようにした。世界のどこかの、ある緊張/戦争を描いた政治的な映画では一切ない。人によって、この映画がどこで始まるか考えるのは自由だ。

 

力強いメッセージですね。強度に相当の自信がないとこんなこと言えません。

そして、ヴィンセント・ギャロのキャスティングについてこう語ります。

 

>JS:彼はアラブ人だと解釈することもできる。だがそこに疑念を持ち、アメリカで生まれ育ちながらその数年前に中東へ渡り、イスラム教徒となった男ということでももちろん構わない。それが台詞を使わない主な理由でもあった。彼のアクセント、言葉でしゃべってしまうとあまりに多くの情報を流してしまうから。

 

そう、彼は何人でもないのです。これは恐ろしいですね。

さらに、こんな想定にだって、チャーミングな反応を見せる監督。

 

>OIT:オサマ・ビンラディンです。それは政治的な話になるので触れたくないかもしれませんが、僕の中では彼を連想させる瞬間がありました。

JS:聞いてくれ。私はあらゆる解釈となるようにこの映画を意図的に曖昧にした。その上で、どんな解釈でも私は快く迎える。それがどれだけ矛盾していても(笑)。

 

これ以上、続ける必要はないでしょう。

スクリーンを観ることだけがすべてです。